Home > 作品紹介

新藤兼人監督作品紹介

第49作 一枚のハガキ

2011年(平成23) 近代映画協会 監督・原作・脚本:新藤兼人
プロデューサー:新藤次郎
出演:豊川悦司、大竹しのぶ、六平直政、大杉漣、柄本明ほか

太平洋戦争末期、100人の兵士が上官からクジを引かされる。
クジで赴任先が決まるのである。

戦争が終わり、
生きて戻ることができたのは、100人のうち6人だけだった。

新藤監督の体験を元にした作品である。

クジを引いた後、松山啓太は、
戦友の定造に一枚のハガキを手渡される。

定造が自分の妻から送られた手紙だった……

啓太が定造から頼まれたのは……

第48作 石内尋常高等小学校 花は散れども

2008年(平成20) 近代映画協会 監督・原作・脚本:新藤兼人 
プロデューサー:新藤次郎
出演:柄本明、豊川悦司、六平直政、大竹しのぶほか

小学校での教師と生徒、30年後の教師と生徒の姿、
人間というものの姿をユーモラスに描く。
石内出身である新藤監督の自伝的要素も含んだ作品。

大正末、石内尋常高等小学校。
良人、みどり、三吉は同級生。
担任の市川先生は、生徒たちと全力で向き合う教師だった。

三吉が居眠りをしても、
それが家の田植えの手伝いのためと知ると咎めず、
良人の母が亡くなった時には、良人と一緒に泣いてくれた。

やがて、良人の家が倒産、心配するみどりだったが……

卒業と同時に三人は、別れ別れに……

それから30年……
村の収入役となっていた三吉は、同窓会を計画した。

第47作 ふくろう

2003年(平成15) 近代映画協会 監督・原作・脚本:新藤兼人 製作:新藤次郎
出演:大竹しのぶ、伊藤歩、木場勝己、柄本明、六平直政ほか

国策に翻弄された末に
母と娘が生きるために選んだ道を描いたブラックコメディ。
かつて「わが道」を撮影した際に監督が耳にした話しに着想を得ている。

東北の開拓村で起きた殺人事件……
この開拓村には、はじめ20家族ほどが入植した。

しかし、土地は不毛であり、やがて人々は次々と村を捨てて出ていった。

ついにある母娘二人だけが取り残された……
飢餓に陥った二人は……

第46作 三文役者

2000年(平成12) 近代映画協会 監督・原作・脚本:新藤兼人
製作:新藤次郎 プロデューサー:新藤次郎、平形則安
出演:竹中直人、荻野目慶子、乙羽信子ほか 

原作は新藤監督の手による殿山泰司についての評伝『三文役者の死』。
近代映画協会50周年の記念作品。生前の乙羽信子の姿も見える。

タイちゃんこと殿山泰司は大正4年(1915)、
おでん お多幸の長男として生まれた。

昭和11年(1936)、俳優になったタイちゃんは、
36歳のとき、京都の喫茶店で17歳のウェイトレス キミエと出会い、
結婚を考えるまでに……

しかし、タイちゃんにはすでに内縁の妻 アサコがいた。

タイちゃんは、オカジこと女優の乙羽信子を仲介に
アサコと別れようとするのだが……

第45作 生きたい

1999年(平成11) 近代映画協会 監督・原作・脚本:新藤兼人 製作:新藤次郎
  プロデューサー:平形則安 出演:三國連太郎、大竹しのぶ、吉田日出子、柄本明ほか

姥捨伝説と現代の老人の話を交錯させて描いた作品。

長野県の姥捨駅に降り立った安吉。
そこには姥捨山が近くに……

その不気味さに、安吉は逃げるように街中へ……
しかし、立ち寄った馴染みのママさんの店では粗相をしてしまい、
追い出されてしまう。

そのままの姿で、道端で寝ていたところを
医師の君塚に助けられた安吉……

君塚の知らせで迎えにきた長女の徳子にも悪態をつかれてしまい,
老人ホームに入ることを考えるようになる。

やがて、安吉は姥捨伝説に関する本を読み始め……


第44作 午後の遺言状

1995年(平成7) 近代映画協会 監督・原作・脚本:新藤兼人 製作:新藤次郎
プロデューサー:溝上潔 出演:杉村春子、乙羽信子、朝霧鏡子、観世栄夫ほか

夏―― 避暑のため、女優の森本蓉子は、
蓼科の別荘に来た。

30年もの間、別荘を管理している農婦の豊子が蓉子を迎える。

豊子には娘 あけみがおり、子供のいない未亡人の蓉子は、
あけみを実の子同然に可愛がった。

翌日、古い友人の牛国夫妻がやって来る。
だが、夫人の登美江は認知症にかかっていた……

登美江もかつては女優で、蓉子に会って、
一瞬チェーホフの『かもめ』の一節を空で言えたのだが、
すぐに元に戻ってしまうのだった。

そして、事件が起こる。

第43作 墨東綺譚

※文字化けを防ぐためにやむをえず不正確な表記にしております。

1992年(平成4) 近代映画協会 監督・脚本:新藤兼人
原作:永井荷風 企画:多賀祥介
プロデューサー:新藤次郎、赤司学文
出演:津川雅彦、墨田ユキ、宮崎淑子、乙羽信子ほか 

新藤監督が永井荷風の原作を劇的に脚色。

社会の底辺に生きる女性達に注目し続けていた荷風。
そのために荷風は遊蕩児とみなされた。

やがて玉ノ井の遊女 お雪と出会った荷風は、
その清らかな心に、強くひかれるが……

第42作 さくら隊散る

1988年(昭和63) 天恩山五百羅漢寺、近代映画協会 監督・脚本:新藤兼人
原作:江津萩絵『櫻隊全滅』 企画:能登節雄、池田生二
  製作:日高宗敏、高島道吉 プロデューサー:溝上潔、新藤次郎
出演:古田将士、未来貴子、八神康子ほか ナレーター:乙羽信子

昭和20年8月6日、広島での巡業中に被爆し、
9名が非業の最期をむかえた移動演劇隊 櫻隊について
ドラマ、記録映像、証言を交錯させながら描いたドキュメンタリー・ドラマ。

新劇人で結成された移動演劇隊 櫻隊。
昭和20年、7月15日から、広島に滞在していた……

第41作 落葉樹

1986年(昭和61) 丸井工文社 監督・原作・脚本:新藤兼人 製作:今井正作
出演:小林桂樹、乙羽信子、財津一郎ほか

新藤監督の体験を作品化。

新藤監督は幼い頃に、父が借金の保証人となったために、
実家が倒産するという体験をしている。

雪の降る蓼科で、初老の男が少年時代を回顧する。
正月、家族の恒例行事だった餅つき……
いつも母にくっついていた少年……

ある日、父が連帯保証人であったことから、
家屋敷、土地は人手に渡ることになった……


第40作 ブラックボード

1986年(昭和61) 地域文化推進の会、近代映画協会 監督・脚本:新藤兼人
プロデューサー:高島道吉、遠藤雅也、新藤次郎
出演:辻輝猛、乙羽信子、川上麻衣子ほか

初夏のある日、少年が遺体となって発見された。

テレビニュースを見て不吉な予感を覚えた安井波江は、
警察に赴き、息子 猛の遺体を確認するのだった。

学校には警察の捜査が入り、マスコミも殺到する。
保身に必死な校長、担任、
そして無表情な生徒たち……

いじめの本質に迫る作品。


第39作 地平線

1984年(昭和59) MARUGENビル 監督・脚本:新藤兼人 製作:川本源四郎
出演:乙羽信子、藤谷美和子、永島敏行、時任三郎ほか

新藤監督の実姉がモデルとなっている。

一九二〇年、秀代は写真結婚でアメリカへ渡る。
家の倒産を救うためだった。

荒野での壮絶な生活の始まりだった。
灼熱の中で、天秤で水を運び、
石ころだらけの土地を耕す。

そうして20年……
秀代は、太郎、サクラ、モモコ、アヤメと四人の母になっていた。

1941年、12月8日、
日本軍が真珠湾を攻撃した。

太平洋岸の日系移民は
大統領令9066号により強制収容所送りに……


第38作 北斎漫画

1981年(昭和56) 松竹 監督・脚本:新藤兼人 原作:矢代静一
製作:金井彰久 出演:緒形拳、西田敏行、田中裕子、樋口可南子、乙羽信子ほか

浮世絵師 葛飾北斎と戯作者 滝沢馬琴の交流を、
北斎の娘 お栄や北斎が生涯求め続けた 魔性の美女 お直
と絡めて描いている。

矢代静一の同名の戯曲の映画化である。


第37作 絞殺

1979年(昭和54) ATG、近代映画協会 監督・脚本:新藤兼人
製作:新藤兼人 出演:乙羽信子、西村晃、狩場勉、会田初子、殿山泰司ほか

開成高校生殺人事件に着想を得て製作された作品。

保三は、ある夜明け、息子 勉を絞殺した。

エリートコースを歩むよう息子 勉をしつけてきた保三。
素直に従っていた勉。

ところが、ある事件をきっかけに勉は豹変し、
家庭内暴力を振るうようになったのだった……


第36作 竹山ひとり旅

1977年(昭和52) ジャン・ジャン、近代映画協会 監督・脚本:新藤兼人 製作:高嶋進、佐藤貞樹、能登節雄、赤司学文 出演:林隆三、倍賞美津子、乙羽信子 特別出演:高橋竹山 津軽三味線の名人 高橋竹山若き日の放浪の日々を描く。

青森県津軽地方の農家に生まれた竹山は、
3歳のころ、はしかのために半ば失明する。

やがて、母のすすめによって、
門付け芸人 佐倉重太郎の弟子となり、
旅をつづけていく……

澁谷のジャン・ジャンで弾き語る高橋竹山本人の
現在進行形を融合したドキュメンタリー・ドラマ。


第35作 ある映画監督の生涯・溝口健二の記録

1975年(昭和50) 近代映画協会 監督・脚本:新藤兼人 製作:新藤兼人
取材協力:田中絹代、依田義賢、香川京子ほか

新藤監督が、師である溝口健二の生涯について取材した
長編ドキュメント作品。

溝口監督の関係者39人に新藤監督が自らインタビューを行った。
溝口健二の人間像に鋭く、粘り強く迫っていく作品。


第34作 わが道

1974年(昭和49) 「わが道」製作実行委員会 近代映画協会
監督・脚本:新藤兼人 製作:高島道吉、佐藤不器、能登節雄、赤司学文
出演:殿山泰司、乙羽信子、戸浦六宏、佐藤慶

東京で行き倒れて亡くなった出稼ぎ労働者が、身元不明人として扱われ、
勝手に医大の解剖実験材料にされた事件についての裁判闘争記録
「ある告発――出稼ぎ裁判の記録」(佐藤不器、風見透編著)を映画化。

青森から東京へ出稼ぎに行った
夫 芳造からの音信が途絶えた。

妻のミノは、家出人捜索願を出したが、
翌年、警察署で行き倒れて死亡した人の写真帳に夫を見つけて上京する。

医大に夫の遺体を返還してくれるよう要求したミノ……
しかし、戻ってきた夫の遺体は、
原型をとどめないあまりにも酷い姿にされていた……

第33作 心

1973年(昭和48) ATG、近代映画協会 製作・監督・脚本:新藤兼人
原作:夏目漱石『こころ』 出演:松橋登、辻萬長、杏梨、乙羽信子ほか

夏目漱石原作の『こころ』の映画化。

蓼科のミズナラ林でKは、学生時代を回想する。

20歳の頃、本郷の古い家、
その家のM夫人に部屋を貸してもらいKは下宿を始めた。

M夫人には、美貌の娘I子がいた。
Kには夫人がI子を自分に接近させようとしているように思えた。

あるとき、Kは、親友Sが困窮しているのに同情し、
自分の隣の部屋に住まわせることにした……

二人の学生と、下宿の若く美しい娘……
新藤監督がテーマとしてきた
「裏切り」と「性」をキーワードに人間を描く。

第32作 讃歌

1972年(昭和47) ATG、近代映画協会 監督・脚本:新藤兼人 原作:谷崎潤一郎『春琴抄』
製作:新藤兼人 出演:乙羽信子、渡辺督子、河原崎二郎

谷崎潤一郎の『春琴抄』を新藤兼人監督が換骨奪胎した作品。

春琴と佐助の墓。
作者は、ここで、てるという老女に出会い、
春琴と佐助の物語を聞くのだった……

大阪の薬問屋である鵙屋の娘、春琴。
9歳で失明したが、琴三弦の名手で類稀な美貌の持ち主だった。

彼女は、わがまま放題に育てられて驕慢に成長、
使用人の佐助にだけ身の回りを世話させていた。

春琴はやがて、佐助、てるとともに一戸を構え、弟子を教えるようになったが……

第31作 鉄輪(かなわ)

1972年(昭和47) ATG、近代映画協会 監督・脚本:新藤兼人
製作:新藤兼人、桑原一雄 出演:乙羽信子、観世栄夫、フラワー・メグ
能狂言「鉄輪」(かなわ)を題材にした作品。
「鉄輪」を、新藤監督に紹介したのは、観世栄夫。

古代、貴船神社……
そこに丑の刻参りをする中年女の姿があった。

一方、几帳の内で抱擁を交わす男と女。
丑の刻参りの女の夫とその愛人の若い女である。

突如、若い女に、中年女の呪いが襲いかかる……

現代、ベッドの上の男女。古代の男と若い女であった。
そこへ、電話のベル。受話器から相手の声は聞こえない。

そして、アパートの一室……
向い合って座る男と女。
離婚を切り出す夫と、拒否する妻……

交錯する古代と現代。
男と女と若い女。同じ三人。
時代を超える嫉妬の情念……

第30作 裸の十九才

1970年(昭和45) 近代映画協会 監督:新藤兼人 脚本:新藤兼人、松田昭三、関功
製作:絲屋寿雄、能登節雄、桑原一雄 出演:乙羽信子、原田大二郎、草野大悟、佐藤慶ほか

1968年(昭和43)の永山事件をモデルに製作された、
近代映画協会の20周年記念作品。

山田タケは、家庭をかえりみない夫のために、
困窮する中で子供を育てる。

子供の一人、道夫は集団就職で上京したものの
職を転々とするように……

やがて、米軍基地で拳銃を盗んだ道夫は、
忍び込んだホテルで警備員に呼び止められ、
無我夢中で引き金を引いてしまった。

これが、道夫の殺人の始まりであった……

第29作 触角

1969年(昭和44) 日映新社、近代映画協会 監督・脚本:新藤兼人
製作:堀場伸世、能登節雄、桑原一雄 出演:乙羽信子、大丸二郎、太地喜和子

母と息子。息子と恋人。恋人と息子の母。
三者三様の関係を通して人間の奥底に潜む深層心理に焦点をあてた
新藤監督的人間性追究ドラマ。

民子は、息子の利夫と二人暮らし。
音楽家カワノ・ナガル氏の写譜を生業にしていた。

冬、母子で山荘を訪れた際、
民子は初めて息子にガールフレンド八重を紹介される。

民子が仕事で上京した日、八重は利夫をスキーに誘った。
だが、腹痛を訴える利夫は、八重が医者を呼ぶのをとどめ、母の帰宅を待つ。

やがて、戻った民子が息子の下腹部に手をさしこみ、さすってやると、
利夫の顔から苦痛は消えるのだった……

夏、利夫は家に近い海辺で八重に会い、彼女の胸を見て、
若き頃の母の乳房を吸っていた自分を思い浮かべるのだった。

民子は、八重と利夫が親密さを増すにつれ、神経をとがらせ、
対する、八重も民子に敵意を感じるように……

ある朝、仕事から帰った民子が、バスルームで貧血を起した。
全裸の母を介抱する利夫を目撃した八重は、ショックを受ける。

そんなあるとき、民子に瓜二つの娼婦ユキを紹介された利夫。
原爆の傷跡を顔半分に残すユキ……

第28作 かげろう

1969年(昭和44) 松竹、近代映画協会 監督・脚本:新藤兼人
製作:絲屋寿雄、能登節雄、桑原一雄 出演:乙羽信子、富山真沙子、戸浦六宏

新藤監督が尾道で実際に見聞した猟奇事件を基に、「情念」と「性」という
当時、新藤監督が追究していたテーマを交錯させたサスペンス。

真夏のある夜のこと……
船尾に死体をくくりつけた伝馬船が尾道へ向かっていた……

被害者は、尾道のバー「磯千鳥」のマダム おとよ。

おとよが手にしていた二つの鍵のうち、
片方が「磯千鳥」に務める道子のアパートの鍵だったことから、
警察は道子を追及する。

次第に明らかになる殺されたおとよの過去……

おとよは、三笠島の出で、
知的障害者の息子を島の役場に預けて離島していた。

また伝馬船は、道子の出身地 大根島のものであることも判明する。

さらに、捜査陣は20年前に起こったある事件へと導かれていく……


第27作 強虫女と弱虫男

1968年(昭和43) 松竹、近代映画協会 監督・脚本:新藤兼人
製作:能登節雄・桑原一雄
出演:乙羽信子、山岸映子、殿山泰司、観世栄夫、戸浦六宏ほか

炭鉱閉鎖で社会・政治から切り捨てられ、自立して生きる庶民、
男たちを養う女たちの生命力を描く。

九州の炭鉱町。閉山でトーチャン 善造が失業。

カアチャン フミ子は、娘のキミ子と京都へ出稼ぎ。
ネグリジェサロン「平安母艦」のホステスとなる。

二人は、生きるため、金のために、あの手この手……

やがて洛西の大地主 権兵衛をカモにし始める。
権兵衛は、たちまちキミ子の虜になって、 結婚まで考える……

しかし、格式張った権兵衛の母 竜は、
ホステスとの結婚には猛反対。

竜はフミ子に手切れ金を渡したが、
素知らぬ顔で権兵衛と切れないフミ子。

一方、トーチャンは、失業保険を切られそうになり、
カアチャンに相談してきた。

この件は、
カアチャンが機転をきかせて乗り越える。

さて、権兵衛の母 竜は
なんとか権兵衛からフミ子を切り離そうと、
権兵衛の友人 川原と一計を案じるのだが……

第26作 藪の中の黒猫

1968年(昭和43) 日本映画新社、近代映画協会 監督・脚本:新藤兼人
製作:堀場伸世、能登節雄、桑原一郎 出演:中村吉右衛門、佐藤慶、乙羽信子、大地喜和子ほか

平安末の説話「一条戻橋」に着想を得て企画された。
争乱の中の民衆の人間像と夫婦愛を幻想的なイメージで描く。

平安中期の京。
落武者に襲われ、家もろとも若い娘とその母が焼け死んだ。

そのころより羅城門に現れ始めた妖怪……

夜ごと侍が、美女にいざなわれ、
翌朝には、変わり果てた姿で見つかる。

そんな中、百姓の藪の銀時は、戦に出て大将首をとり
頼光に仕えるようになった。

晴れ姿を母と嫁に見せるべく家に戻るのだが、
家は焼け落ちており、二人の姿もなかった……

やがて、銀時は、頼光より例の妖怪退治を命じられる……

第25作 性の起源

1967年(昭和42) 近代映画協会 松竹 監督・脚本:新藤兼人
  製作:能登節雄 桑原一雄 出演:殿山泰司・乙羽信子・林秀樹・松尾嘉代

「鬼婆」「本能」に続き、性をテーマに描いた作品。
衰えゆく親と成長する子の性を対比し、
そのなかに人間にとってかけがえのない愛の根源をみつめる……

入院中の彼は、相部屋の少女のベッドに入り込み、医師より叱責された。

退院し出社しても彼は、次第に心身が衰えゆくのを痛感して落ち込む。

一層彼を弱らせたのは、息子の道夫が、
自分とは反対に日々、たくましい成長を遂げていくからでもある……

ある日、息子は父が、少女のベッドを襲ったと知って、その少女を探し始めた。

やがて、少女を探し当てた息子は、
少女と幾度も会うようになり、ついには……

第24作 蓼科の四季

1966年(昭和41) 近代映画協会 構成:新藤兼人 撮影:黒田清己
ナレーション:乙羽信子

本作は「本能」で蓼科の山荘にスタッフ20人が籠って撮影した際、
フィルムに収められた8万フィートにも及ぶ蓼科の四季を
新藤監督が構成したドキュメンタリーである。

自然を擬人化し、樹木、草木、野鳥など蓼科特有の自然の美しさ、
厳しさを詩に託して謳いあげる。

第23作 尖石遺跡

1966年(昭和41) 近代映画協会 脚本・監督:新藤兼人
ナレーション:殿山泰司

尖石遺跡を独自に発掘・研究してきた
宮坂英弌(ふさかず)氏の姿に迫るドキュメンタリー作品。

尖石遺跡は長野県茅野市、八ヶ岳西麓にある縄文中期の
竪穴式住居の集落遺跡。

1952年(昭和27)に文部省の特別史跡第1号に指定された。

宮坂英弌氏は戦前より、
地元において、独自にこの遺跡を発掘・研究を続けてきた。

第22作 本能

1966年(昭和41) 近代映画協会 脚本・監督:新藤兼人
製作:新藤兼人・桑原一雄 出演:観世栄夫・乙羽信子・殿山泰司ほか

「母」・「鬼婆」・「悪党」と人間の生と性を描いてきた
新藤監督が、一層率直に性をテーマとして扱った作品。

季節ごとに蓼科の山小屋を訪れる「先生」と呼ばれる能楽師。

広島で被爆した際に、男性機能を喪失していた……。

一時は、機能を回復し結婚もしたのだが、
第五福竜丸事件を知って衝撃を受け、
再び機能を喪失、離婚する。

蓼科の高原で、若い男女の姿に圧倒される先生……。

先生のもとへ出入りするお手伝いのおばさんは、
何とか先生の性を回復させようと……

第21作 悪党

1965年(昭和40) 東京映画 近代映画協会 監督・脚色:新藤兼人 原作:谷崎潤一郎
製作:絲屋寿雄・能登節雄 出演:小澤栄太郎・岸田今日子・乙羽信子ほか

原作は谷崎潤一郎の戯曲「顔世」

南北朝の時代、室町幕府の重鎮 高師直は絶大な権勢を誇っていた。

ある時師直は、
塩冶判官の妻 顔世が絶世の美女であることを聞く。

顔世に興味を持った師直は、
塩冶判官の屋敷に忍びこみ、
顔世の湯浴み姿をのぞき見る……

激しい横恋慕に取り憑かれた師直は、
なんとしても、思いを遂げようと企む。
堅い絆で結ばれている塩冶判官と顔世は……

第20作 鬼婆

1964年(昭和39) 近代映画協会 東京映画 監督・脚本:新藤兼人
製作:絲屋寿雄・能登節雄・湊保 出演者:乙羽信子・吉村実子・佐藤慶

「肉付きの面」の仏教説話がモデル。

南北朝時代……
二人で暮らす老女とその息子の嫁。

老女の息子は、戦にかりたてられてしまっていた……

女二人は、落ち武者狩りで生計を立てていた。
敗走してきた武士を殺して身ぐるみをはぎ、金品にかえるのである。

ある日、老女の息子と共に戦に出ていた八という男がかえってくる。
老女の息子は、戦死したという……

情欲に取り憑かれ逢瀬を重ねる嫁と八……

女としての嫉妬と
働き手をとられるのではというおそれから、老女は……

第19作 母

1963(昭和38) 近代映画協会 監督・脚本:新藤兼人
製作:絲屋寿雄・能登節雄・湊保・松浦栄策
出演:乙羽信子・杉村春子・殿山泰司・高橋幸治ほか

最初の夫を戦争で亡くした民子は、
遊び人であった2人目の夫とも別れて、実家に戻る。

息子の利夫は脳腫瘍を患っていた……

民子は母 芳枝に利夫の手術費用を貸してくれるよう頼んだが、
芳枝は、手術費用のために3度目の結婚をすすめるのだった。

打算的に田島と結婚した民子だが、
田島は、真剣に利夫を心配し、民子をいたわる。

田島に心をうたれた民子は……

生と性を描いた作品。

第18作 人間

1962(昭和37) 近代映画協会 監督・脚本:新藤兼人 原作:野上弥生子
製作:絲屋寿雄・能登節雄 出演:殿山泰司・乙羽信子・佐藤慶・山本圭

原作は、野上弥生子の小説『海神丸』。

原作は、大正時代に起きた漂流事件がモデルとなっている。
新藤監督は、舞台を戦後に季節も冬から夏へ移して脚色した。

出航した小型の荷役船海神丸。
乗り込んだ船長の亀五郎、船頭の八蔵、助手で最年少の三吉、海女の五郎助。

嵐に襲われ、食糧も多くが波にさらわれた。

もとより、二日の航行の予定……
漂流が続く中、わずかに残っていた食糧もついに底をつきる。

飢餓の極限へとおいつめられた4人は……

第17作 恋人たち

更新までしばらくお待ちください。

第16作 裸の島

1960年(昭和35) 監督・脚本:新藤兼人 製作:松浦栄作・新藤兼人
出演:乙羽信子・殿山泰司・田中伸二・堀本正紀

瀬戸内の小さな孤島に暮らす、
夫婦とその子供たちの日常にある自然と大地との闘いを描く。
全編セリフなしの作品。

瀬戸内海の離れ小島。
土地はやせているが、夫婦の耕した段々畑は、
島の斜面に頂上まで続いている。

島には水がない。
夫婦は、別の島から小舟で水を運ぶ。
そして、てんびん棒を使って、
水桶を担ぎ島の急峻な斜面を上り降りする。

夫婦の長男 太郎は小学生だが、学校も船で別の島へ通っている。

ある日、日常に異変が起こる……

第15作 らくがき黒板

更新までしばらくお待ちください。

第14作 花嫁さんは世界一

1959年(昭和34) 監督・脚本:新藤兼人 制作:山崎喜暉
出演:フランキー堺、雪村いづみ、乙羽信子ほか

日系二世の太郎は,カリフォルニアの農業青年。

花嫁探しのために同じ目的の青年たちと来日。

旅行社の君子が道中のガイド兼花嫁候補の批評役。

君子と共に大阪,広島,名古屋と巡っていく……

太郎は期限の一か月で花嫁に巡り合えるのか……

第13作 第五福竜丸

更新までしばらくおまちください。

第12作 悲しみは女だけに

1958年(昭和33) 大映東京 監督・脚本:新藤兼人 制作:永田秀雅
出演:田中絹代・京マチ子・宇野重吉ほか

1955年(昭和30)に民芸で上演された
新藤兼人作の舞台『女の声』の映画化。

尾道の飲食店、浜千鳥に、
主人 政夫の姉である秀代が帰ってきた。

嫁いだアメリカからの30年ぶりの帰国である。

傾いた家のために、身売り同然に嫁いだのであった。
しかし……

帰ってきてみると、
実家は売り払われていた。

そして、秀代の財産に期待をよせる一族……

秀代のアメリカ土産は……


第11作 海の野郎ども

1957年(昭和32) 日活 監督・脚本:新藤兼人
制作:山田典吾・絲屋寿雄 出演:石原裕次郎・安井昌二・殿山泰司ほか

異国からやってきた古びた輸送船、
満載の鉄屑……

作業員は、各国の海の男たち。
彼らをまとめるのは、千鳥松……

他方、船長をそそのかして真鍮部品の闇取引をねらう
廃品回収業者たち……

船長や回収業者たちの企みを知り、
怒り心頭の作業員たちは、
ストライキを敢行、
起重機のスチームを止めてしまう。

仕事を再開させようとする千鳥松は、
作業員たちと大乱闘になるのだが……

第10作 女優

1956年(昭和31) 近代映画協会・新東宝 監督・脚本:新藤兼人 原作:森赫子
制作:絲屋寿雄・山田典吾・能登節雄 出演:乙羽信子・細川ちか子・小澤栄太郎ほか

森赫子の自叙伝『女優』を新藤監督が映画化。

女優の道を母に勧められた格子……
その母の教えのもと、女優として成長していく。

そんな折、格子は、座の大物 藤枝に迫られて、
妻子ある彼と関係を持つようになった。

やがて、藤枝が中心となって独立すると、
格子も従う。

公演で藤枝とともに人気を博した
格子は、やがて映画『残菊物語』で主演をつとめるまでになった。

しかし、劇団の幹部からは、
劇団のために藤枝と別れるように言い渡されてしまう。

女優の生き方について母とも対立した格子は、
ついに自らの女優の道を追求するため、独立したのだが……

第9作 流離の岸

1956年(昭和31) 日活 監督・脚色:新藤兼人 原作:太田洋子
制作:山田典吾・絲屋寿雄
出演:北原三枝・乙羽信子・三國連太郎ほか

太田洋子原作の『流離の岸』を新藤監督が脚色。
母と自分が背負った運命と愛情の間で苦悩する女性を描く。

千穂は、再婚する母 萩代においていかれたが、
一年ほどしてようやく母とまた暮らせることに……

そして千穂は、十九。
友人にその兄で医者の竜吉を紹介される。

はじめ竜吉に関心をもたなかった千穂だったが、
指の治療を受けた時のやりとりをきっかけに、
竜吉を慕うようになる。

やがて結婚、千穂は竜吉と新居で暮らし始めるが……竜吉には秘密があった。

すでに、竜吉には妻子がいたのである。
事実を知ってしまった千穂は……

第8作 銀心中(しろがねしんじゅう)

1956年(昭和31) 日活 監督・脚色:新藤兼人 原作:田宮虎彦
制作:山田典吾・絲屋寿雄 
出演:乙羽信子・長門裕之・宇野重吉ほか

田宮虎彦の小説を新藤監督が脚色。

東京で理髪店を営む喜一と佐喜枝。そこに従弟の珠太郎が修行にやってくる。

やがて喜一が出征すると,想いを寄せ合うようになった佐喜枝と珠太郎。
そうした中で珠太郎も招集される。
そこへ,フィリピンで喜一が戦死したとの報。

戦後,佐喜枝は復員してきた珠太郎と結ばれるのだが……
戦死したはずの喜一は二人の前に生きて戻ってきた……

第7作 狼

1955年(昭和30) 近代映画協会 監督・脚本:新藤兼人
制作:絲屋寿雄・山田典吾・能登節雄 出演:乙羽信子・殿山泰司・高杉早苗・浜村純ほか

新藤監督のオリジナル・シナリオによる作品。

戦争で夫を亡くし、保険の勧誘員をしながら子供を育てる知人女性の話と、
折しも起こった郵便自動車強盗事件に着想を得て企画された。

それぞれに生活苦を抱える5人……
生命保険の勧誘員とはなったものの,契約を取ることもままならず,
いよいよ困窮する。

生か死か……
追いつめられた5人の選択は…… 郵便自動車強盗だった。

第6作 どぶ

1954年(昭和29) 近代映画協会  監督:新藤兼人 脚本:新藤兼人・棚田吾郎
制作:吉村公三郎 出演:乙羽信子・宇野重吉・山村聡・殿山泰司ほか

仕事場に向かう電車から見える工業地の湿地、
そこにならぶバラック群に着想を得て新藤監督が企画。

河童沼のそばに建ち並ぶバラック。

暮らしているのは,ギャンブルに夢中のピンちゃんや徳さん,
元役者の忠さんなど風変わりな面々……

そこへ迷い込んだのは、ツルという女性……

ピンちゃんと徳さんは,
やがて,人を疑うことをしらないツルをだまし,ひともうけをたくらむのだが……

第5作 女の一生

1953年(昭和28) 近代映画協会 監督・脚本:新藤兼人
原作:ギイ・ド・モーパッサン『女の一生』
制作:吉村公三郎・篠勝三 出演:乙羽信子・山内明・日高澄子・宇野重吉ほか

新藤監督による、モーパッサン原作による同名小説の翻案。
結婚に女の幸せを夢見る女性 藤子の半生を描く。

念願の相手に嫁ぎ,子供も授かった藤子だったが、
母になる日を目前にして、夫の浮気現場を目のあたりに

さらに実の兄も、社会運動のために逮捕されてしまい……

第4作 縮図

1953年(昭和28) 近代映画協会=新東宝 監督・脚本:新藤兼人  原作:徳田秋声
制作:吉村公三郎 共同制作:絲屋寿雄・山田典吾・能登節雄
出演:乙羽信子・山田五十鈴・宇野重吉ほか

東京の下町,貧しい家の娘に生まれた銀子が,
置屋に売られ,芸者として生きていく半生を描いている。

千葉では,栗栖という青年医師に想いをよせるようになった銀子。
置屋の主人 磯貝に目を付けられながらも、すんでのところを女将に助けられる。

ところが女将の急死で事態は一変。
銀子は日々、磯貝の執拗な狼藉に悩まされることに……



第3作 原爆の子

1952年(昭和27) 近代映画協会 監督・脚本:新藤兼人 製作:吉村公三郎、山田典吾
出演:乙羽信子、宇野重吉、殿山泰司ほか

作品の基になっているのは、長田新編纂の作文集
『原爆の子″L島の少年少女のうったえ』である。

1945年(昭和20)8月6日、広島に原爆が投下された。

石川孝子(乙羽信子)は被爆したが、家族の中で一人生き残る。

その後、瀬戸内海の小島で小学校の教師となった孝子。

被爆当時つとめていた幼稚園のこどもたちの、消息が気になり、
ついに夏休みを利用して、久しぶりに故郷広島を訪れる。

7年ぶりの広島である。

園児達を訪ね歩くの孝子だったが……

第2作 雪崩

1952年(昭和27) 大映 監督・脚本:新藤兼人  出演:藤田進、水戸光子、乙羽信子、殿山泰司ほか 北国の発電所の技師 木島浩輔は、妻 時枝を送るため直江津に出かけた。 時枝は東京の実家に帰るのである。 時枝は北国の山奥での暮らしに耐えかねたのだった。 妻を送った帰り、浩輔は、新任の技師 藤川敦子と出会う。 浩輔のことを何かと気にかける敦子だったが……

第1作 愛妻物語

1951年(昭和26) 大映 監督・脚本:新藤兼人
  出演:乙羽信子、宇野重吉、殿山泰司ほか

新藤監督の自伝的作品。
死別した最初の妻 孝子さんとの日々を基にしている。

沼崎敬太は、とある撮影所の脚本研究生……
下宿の娘 孝子と相思相愛となるが、
孝子の父には結婚を反対されてしまう。

孝子は父の反対にも負けず、敬太と結婚生活を始めた。

しかし戦時下ということあって、
映画界にもその波が押し寄せる。

敬太の撮影所には、合併話が持ち上がった。

人員整理の対象になるのではないかと
気が気ではない敬太……

孝子と相談して、京都の撮影所の増田を頼る。

増田の紹介で、
坂口監督からの仕事を受けることになった敬太は、
懸命にシナリオを描き上げた。

敬太のシナリオを見た坂口監督は……

Facebook

▲ページトップへ
inserted by FC2 system